昭和、平成時代の河川管理現場で体験したこと

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複業のすすめー革新的仕事を進める方法

 2018年1月15日の読売新聞トップに、「フリー労働独禁法で保護」という記事が出ていました。フリーランスな働き方をしている人へ不当な要求をする企業を独禁法で保護しようとするもので、この数日後には「強みを生かし複数の足」という見出しで、同時に複数の企業で働く、得意な能力を持つ個人が実力を発揮できる働き方を支援する記事が出ていました。

 一般の働き方は、組織に属して働くことが普通ですが、特別な能力を持つ人が、特定の組織に専属せず、複数の組織に技術を提供する形態は、最近になってようやく市民権を得ようとしているものの、企業の壁はまだまだ高そうです。

 私も、国土交通省を退職後、ご縁があって2つの財団に兼務して働きましたが、同時に複数の組織に努めることは経営陣や事務職には珍しくはないものの、技術屋としては珍しい働き方だったので、多々戸惑いがありました。

 ところでコンサルタント業務をするための資格要件であった「技術士」の登録には、技術士法により「所属」を届ける必要があります。 技術士資格は、個人資格ではありますが、一方コンサルタント会社を開設できる「業法」の性格が合わせてあり、どこかの組織に属する必要があるとされています。

 一般的には、2つの組織に同時に勤務するという複数組織勤務の登録はできない仕組みなのです。

 私の場合は、先に所属した組織に「技術士」資格を登録をすることで受注資格要件を満たして業務を行いましたが、もう一つの職場では重複して技術士登録ができない制度であったので、そこに所属して社会保険を支払っているという証明書を発注先に提出し、資格要件を認めてもらっていました。 私の場合は2つの組織が半分ずつ負担するという、変則的な給与体系を納得して働いていました。

 当時の私の仕事の内容は、次々に発生する国の行政課題の執行を支援する財団法人として、アイディアの提供、実行手段の提供、その他達成に必要な情報の提供にあったので、忙しい現役に代わって問題の発見や課題を整理し、実行可能な技術者、研究者を探し出して議論を積み上げ、実行可能性を精査し、要求仕様を達成させるものでした。

 社会が必要としている先進的な仕事は、マニュアルは無論なく、誰もが出来る手慣れた仕事とは異なり、当然に複雑系の仕事になりました。 この要求仕様を達成するためにマネージを行うのですが、構想を組上げ、それが出来る人複数の人材を探し出し、これらのメンバーと試行錯誤しながら、課題を克服するというプロセスが必要でした。

 先進的な仕事は、組織、所属を超越して、出来る人を結集して仕事ができる仕組みの中でしか成功しないとおもうのです。 いま一般に行われている競争入札や、技術提案型競争入札といえども、革新的な仕事は出来るはずはありません。  お役所の一般的な仕事のやり方であるマニュアルに基づく発注、部下からのボトムアップはこの種の仕事には全く不適当なのです

 革新的な仕事は、トップダウンで「責任をとる人」が判断するべきで、これを成し遂げるためにトップが存在する十思うのです。

 この2つの記事は、私がアピールする革新的な仕事の提案の発注方法には直接関係はありませんが、官公署の仕事を考える機会になればと、かすかな思いを込めてこの記事を書いてみました。