昭和、平成時代の河川管理現場で体験したこと

見聞きしたこと、考えたこと、出来なかったことを伝えたい

戦後の河川管理現場を支えた旧軍人や旧高専卒の先輩のこと

 私が建設省の地方出先である四国地方建設局に採用された昭和33年(1958年)頃は、今でいう旧帝大卒と新制大学卒業の上級職は一握りで、課長職などの中堅技術者は旧高専卒業者が占めていました。 一般の技術者は、新制高校卒の公務員試験合格者がまだ係長一歩手前といったところだったと記憶しています。

 私の上司には、様々な経歴を持つ、一本筋が通った、確かな腕前を持った技術者が揃っていました。 この年代は、戦後の混乱期から高度経済成長期を実質支えた世代であると、今でも尊敬の念を持ち続けています。

 上司の皆様から時折お聞きした戦後の混乱期、陸軍幼年学校や陸軍士官学校高専在学中に応召して軍隊に入り、戦後建設省に入った先輩方のことを、常々知りたいと思っていました。

 戦前と戦後の高度経済成長期以前の人事配置は、現在のように2~3年ほどで転勤を繰り返す今のシステムではなく、上から下まで数年は移動せず、じっくりと赴任地に根をおろす人事配置をしていました。 そのため、現場仕事のことはどの上司も自信に満ち溢れていた時代でした。

 いまの人事配置は、転勤があまりにも早すぎます。 行政手腕に力点が置かれている一方、現場が一層手薄になっていることに、わたくしは危機感を持つのです。 この状況は、技術の向上も問題、課題の発見能力もレベルアップしないどころか、低下していると思うのです。 社会の将来を見据えて、今後の河川管理の方法を見定めたいと思うとき、その原点は現場にあると思うのです。

 いま、この時代を生きて、まだ健在な何人かの先輩にこのブログに投稿していただけないとお誘いしようとしています。