昭和、平成時代の河川管理現場で体験したこと

見聞きしたこと、考えたこと、出来なかったことを伝えたい

2019-01-01から1年間の記事一覧

20191019城山ダム緊急放流報道、緊急放流 という言葉が誤解を生む

20191019日の台風19号は、予想以上の被害が発生しました。各地で痛ましい出来度とでしたが、私の知る限り、ああまたここかという、低地の被災が多いことに、改めて無力感を感じました、 ここでどうして、こんなに今、厄災が発生するのかについての私の見方は…

洪水報道 「緊急放流」は、ダムが被害を助長させている印象を与えている

2019年10月の19号台風は、しばらくぶりに首都圏を直撃したこともあって、密度の濃い報道ぶりだ。 相模川の城山ダムが緊急放流を行うことが報道されている。 多くの報道記者は、かっての「ダムは無駄」といった報道キャンペーンの後遺症があるらしく、洪水時…

NHK 「中国”改革改革を支えた日本人”」を見て考えてたこと

NHKBS放送「中国”改革改革を支えた日本人”」を見て考えた。 私は建設省に在職中、江沢民時代に、省内でも中国へのODAがいくつか実施されていました。私がかかわったのは「水防防止指揮プロジェクト」という、水害予報に関する通信機器の整備と運用に…

水防活動のこと

堤防は、破堤決壊の恐れがない「スーパー堤防」以外は常に破堤の恐れがありますが、堤防の能力を最大限の発揮させるために「水防活動」があります。 昔は地域をあげて水防団(消防団)を維持していました。 下の写真は宮城県を流れる鳴瀬川に合流する吉田川…

劣化した堤防を見分ける

1、 地震で 堤天に亀裂が発生した四万十川堤防 堤防が劣化す ることは、あまり知られていません。その為もあってか、劣化を見据えた機能回復プログラムは現在設けられていません。 堤防の中を断ち割って、断面を確認する機会は少ないものですが、私は2度の…

破堤の現場

破堤寸前の現場 昭和29年(1954)9月の12号台風洪水で、四国、徳島、吉野川堤防の破堤をかろうじてま逃れた現場にいました。 私は当時中学生でした。 好奇心に駆られ堤防に到着した時、多くの水防団員は殺気立って、懸命に土俵を裏法の小段に積み上げる作業…

日本の堤防のほとんどは、構造体 としては作られていない

被災のたびごとに拡張してきた歴史的建造物 家屋や橋梁などの人工工作物のほとんどは、その構造体に対して安全を保障する設計基準があり、これに対応できる構造物が設置されています。 堤防も人工構造物なので、堤防がどの程度の外力(洪水の規模など)なら…

流域は巨大な水質浄化施設

地上に降った雨は水蒸気となり、また地表、地下を流れて海にいたることはだれでも知っていることです。 しかし流域を流れ下る過程で植物を育て、地下を流れると岩石を溶かし、また人間の活動に役立て、その結果汚染された水を分解するなどの様々な作用と流下…

「多自然川づくり」が死語になる日

「多自然川づくり」は、ネットを検索すると様々な事例や取組、考え方などを探すには苦労しない時代になりましたが 、私の記事はその創成期に見聞きした話を書いています。 いうまでもなく、河川工事は「建設産業」であり「理念」が理解できたとしても、コス…