昭和、平成時代の河川管理現場で体験したこと

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洪水報道 「緊急放流」は、ダムが被害を助長させている印象を与えている

 2019年10月の19号台風は、しばらくぶりに首都圏を直撃したこともあって、密度の濃い報道ぶりだ。 相模川の城山ダムが緊急放流を行うことが報道されている。

 多くの報道記者は、かっての「ダムは無駄」といった報道キャンペーンの後遺症があるらしく、洪水時にダムが放流する必要が生じたとき、ダムがさも下流に人為的な悪影響を与えているといった印象報道がこれまで多く見られ、歯がゆく思ったものだ。 

 今回の相模川の報道も、昨年の愛媛県鹿野川ダムの緊急放流で死者が出たことを合わせて紹介していることから、今回緊急放流も危険な操作が行われることをであることを想像されかねない。

 10月12日NHKの松本解説委員はフリップを作成し、ダムが放流によって下流にさも有害な操作をすると受け取られる誤解が生じないように、ダムは水をためることが大きな目的があるが、洪水時には貯留できるダムの容量に限界があり、洪水をこれ以上貯留できないとわかった時には、流入量を上回らない範囲で放流する」仕組みがあり、これを「緊急放流」と称している、流入量を上回る放流量は決してしないと云う説明があたことはこれまでにない丁寧なな解説だった。

 しかしどんな事態になっても、流入量を上回る放流を行う操作を行うことはない。

 ただ、ダムはこの状況下では洪水軽減には役に立っていない、入ってきた流量をそのままダムを通過させているということだ。その場合ゲートは開きっぱなしとなっている。