昭和、平成時代の河川管理現場で体験したこと

見聞きしたこと、考えたこと、出来なかったことを伝えたい

水防災対策を今後、どのように進めるかはなかなか難しそうだ

 水の利用であれ水防災対策であれ、昔も今も政治、経済が治水の方向性を左右している。治水の技術はこれにかなうように対応してきた歴史があり、今後も変わることはない。

 既往最大の洪水が頻発し、一層巨大化が見込まれ、少子高齢化社会が到来しているこの時点で、今後の治水対策の設計図を私なりに考えてみた。

 不遜な企てと承知している、十分な知識があるわけでも、聡明な学力、思考力があるわけでもない、いわばどこにでもいる普通の河川の現場を経験した者の一人としての視点で考えたことを述べてみたい。

 現役の行政担当者であれば、時の政府や自治体の考えを体現する方向で設定するのはごく当たり前であるが、ここでは、すべての制約を考えず、考えてみたい。

 問題の設定からスタートする。被害が軽減すればよいことはわかっている、これまで堤防、ダム、その他の治水方策を実行してきたが、今後どのような方策が残されているのだろうか。

1、堤防を強くすればよい

  これはだれもが思うことであるが、その実効性にはどのような課題があるのかを書き連ねてみたい。